巷でバカ売れと噂の小型ベアボーン「 ASRock DeskMini 110 」。デスクトップ版CPUが使えるということや低価格であるという理由から、Intel NUCを駆逐する勢いのようです。先日も3台目となるNUC「Intel NUC6i7kyk」を購入し、Intel NUCを愛用している僕としては、DeskMini110を買わないわけにはいきません。
という訳で、Amazonへの入荷を確認して、即行ポチリましたよ。
購入レビュー
Intel NUCと違って好きなCPUと組み合わせることができるのが、DeskMiniの利点。
TDP65WのCPUでは最速のCore i7-6700をブチ込もうかと考えましたが、Core i7-6770HQ搭載のNUC6i7kykを先日買ったばかりなので、ここは少し自重してCore i3-6320を選択しました。
Core i3-6320を選んだ理由はただ1つ。Core i7-6700Kを除いてシングルスレッド性能が最高だからです。マルチスレッド処理を必要としないアプリケーションなら最高のサクサク感を体験できるはず。Intel NUCはモバイル版のCPUなのでどうしてもモッサリ感があります(NUC6i7kykを除く)。
メモリはCrucial製のDDR4-2133 8GB×2、SSDはSAMSUNG製の950PROです。SSDはより高速なSM961バルク品が出回りはじめているようですが、保証期間が短いので、5年安心保証の950PROにしておきました。
ちなみに、DeskMiniのM.2スロットはSATA接続をサポートしていません。M.2 SSDはNVMeを選ぶ必要があります。
Intel NUCとのサイズ比較
DeskMiniはIntel NUCとMini-ITXの間を埋めるMini-STX規格のマザーボードが使われています。Intel NUCのマザーボードの寸法が101.6×101.6mmであるのに対して、DeskMiniのMini-STXは140×147mmと二回り大きい規格になっています。
なので、ケースのサイズも二回り違います。NUC5PPYHとのサイズ比較。
DeskMiniを縦置きして比較。デカい。ディスプレイの裏側に設置する気になれるサイズではありません。ディスプレイ裏にスマートに設置するなら、Intel NUC一択。
加えて電源アダプターがデカい。薄型の筐体を持つNUC5i5RYKとDeskMiniの電源アダプターがあんまり変わりません。TDP65WまでのデスクトップCPUに対応するため、125WのACアダプターなので仕方ないものの、もう少し小さくならないものでしょうか。
あと好みの問題ですが、実際に並べてみるとIntel NUCのデザインの良さが際立ちます。DeskMiniのケースの質感は決して低いわけではないけど、鉄板が薄く、内部がほぼ空洞なので、質量というか塊感が感じられず、なんとなくチープに感じてしまいます。実際安いから仕方ないですね。
組み立て
Intel NUCほどではありませんが、パーツの組立は簡単。バックパネルの4本のネジを外し、マザーボードをスライドして取り出します。
あとはCPUとCPUクーラー、メモリ、SSDを装着して終わり。CPUの装着は少々緊張しましたが、10分ほどで組み立てられました。
組み立て後、Windows10とドライバ類をインストールして完了です。
ベンチマークテストの実行
ドライバ類をインストールしている最中から感じていましたが、モバイル版CPUを搭載しているIntel NUCとは明らかにサクサク感が違います。ワンテンポ遅れることが一切ありません。これはDeskMiniの性能というより、搭載したCPUであるCore i3-6320のシングルスレッド性能によるところです。
実際にベンチマーク結果を比較してみました。
Google Octane2.0
まず、恒例のブラウザ上のJavaScrptベンチ「Google Octane 2.0」をテストです。モバイル版低電圧CPU Core i5-5250Uを搭載しているNUC5i5RYKのベンチ結果は「23661」、モバイル版でもTDP45Wの強力なCPU Core i7-6770HQを搭載しているNUC6i7kykの結果は「34555」でしたが、デスクトップ版CPU Core i3-6320を搭載したDeskMiniの結果は「38310」と最高のスコアを記録しました。
やはり、デスクトップ版CPUは速い。
NUC5i5RYK(CPU:Core i5-5250U)の結果:23361
NUC6i7kyk(CPU:Core i7-6770HQ)の結果:34355
DeskMini 110(CPU:Core i3-6320)の結果:38310
ドラゴンクエストXベンチマーク
次にドラクエXベンチをテスト。
グラフィック設定を「最高品質」、解像度を「1920×1080」に設定してテストした結果、NUC5i5RYK(GPU:Intel HD Graphics 6000)の「2156 / やや重い」、NUC6i7kyk(GPU:Intel Iris Pro Graphics 580)の「8379 / とても快適」に対して、DeskMini(GPU:Intel HD Grapghics 530)の「4548 / 普通」となりました。
さすがにIris Pro Graphics 580を内蔵しているCore i7-6770HQのように高スコアをマークすることはできませんでしたが、NUC5i5RYKよりは良い結果となりました。
NUC5i5RYK(CPU:Core i5-5250U)の結果:2156 / やや重い
NUC6i7kyk(CPU:Core i7-6770HQ)の結果:8379 / とても快適
DeskMini110(CPU:Core i3-6320)の結果:4548 / 普通
排熱とファン騒音
ちなみに、ドラクエXベンチを動作させている間、CPUの温度推移を見ていましたが、最大で65°まで上昇しました。ファンからは生暖かい風は排出され、ケースも生暖かくなりましたが、ベンチマークが終わればすぐに40°水準まで低下したので特に問題はなさそうです。Core i3-6320の発熱にはリテールクーラーで十分冷却できるようですね。同じベンチでCPU温度が95°まで上昇したNUC6i7kykよりも安心して見ていることができました。
また、ファンの回転数も上がりましたが、エアコンや扇風機の方が大きく感じる程度のファン音だったので、僕の場合、特に静音ファンとかは必要なさそうです。
(2019.1.27追記)Deskminiのクーラーとして定番のNoctua NH-L9iを購入しました。確かに静か。
(レビュー記事)Deskmini 110用にCPUクーラー「Noctua NH-L9i」を買いました ― 購入レビュー
まとめ
まだ、あまり使えていませんが、DeskMini110とCore i3-6320の組み合わせは日常使いにピッタリといえます。ブラウザーの反応も抜群で、イライラを感じることは一切ありません。
やはり、このサイズの筐体に、デスクトップ版CPUを選択して搭載できることはDeskMini110を含むMini-STX規格の大きな魅力だと思います。モバイル版Core i5搭載のNUC6i5SYHより安い価格で、この性能を入手できることを考えると、ユーザーの満足度はかなり高くなるでしょう。
もし、Core i7-6770HQのGPU Intel Iris Pro Graphics 580を搭載したデスクトップ版CPUが発売されたら、この規格は一層魅力的なものになるはずです。
Intelさん、Core i7-6785C (4core + GT4e)を出して‼