最近、SNSのタイムラインを見ていると、自宅用PCとして「Intel NUC」を選択する人が増えているようです。特に、コロナ禍によって在宅勤務の機会が増えたため、購入された人も多いように思います。
第8世代Coreプロセッサを搭載して以降、文書作成から画像・ビデオ編集、軽いゲームまで一般的な使い方なら必要十分な性能を手に入れたNUCは、コンパクトで場所も取らず、ホームPCにピッタリなのかもしれません。
2019年末に登場した第10世代Coreプロセッサ搭載モデルが、ようやく入手しやすくなってきましたので、2020年版 NUC選びのポイントをまとめてみました。
Intel NUC 選びの注意点
「後悔しない Intel NUC 選び 2019」から大きな違いはありませんが、次の点には注意した方がいいでしょう。
1. Coreプロセッサ搭載モデルは第8世代以降を選ぶ
Coreプロセッサ搭載モデルは第8世代以降を選ばなければ、後悔することになるかもしれません。NUC8i3、8i5、8i7以降のモデルはCPU性能が大幅に向上しており、何より排熱性能の高いCPUファンが取り付けられています。(詳しくは「後悔しないIntel NUC 選び 2019」参照)
また、Atom系プロセッサ搭載モデルは第7世代以降を選んだ方が良いでしょう。CPU性能が大きく向上しています。
2. 第10世代モデルはGPU性能に注意
Intel NUCには、これまで省電力版CPU「Core-Uシリーズ」のうち、一般的なノートPCに搭載されているモデルではなく、強化版iGPUである「Iris Plus」を内蔵したCore -Uシリーズが搭載されてきました。
しかし、第10世代に搭載されているCPUは、一般的なノートPCに搭載されているモデルで、搭載されるiGPUは強化版ではない「Intel UHD 620」です。
第8世代NUCに搭載されている「Iris Plus 655」との比較では、各種ベンチマークテストにおいておおむね4割程度低い性能となっています。
Source: technical city
このため、画像や動画編集、ゲーム等に使いたいと考えている人は、第8世代を選択するか、第11世代の登場を待つのが無難でしょう。第11世代NUCに搭載される予定のTiger Lake-Uプロセッサには、第10世代Coreプロセッサに搭載されているIris Plus Graphicsの2倍の性能となる「Xe GPU」が搭載される予定です。
Source: fanlesstech
この点を押さえて、あとはご自分の使用目的に合わせたモデルを選べばOKです。
使用目的別のおすすめNUC
デスクトップPC用途
いま所有しているデスクトップPCのリプレースとしてNUC導入を検討しているのであれば、デスクトップ並みに動作するCPU性能は区確保したいところです。
Intel NUC10i7FNH / FNK
Intel Core プロセッサ搭載の最上位モデル。NUC10i7FNH / FNKに搭載されているCore i7-10710U(Comet Lake)は、NUC唯一の6コア / 12スレッドのCPUです。最近のデスクトップ向けCPUはメニーコア化が急激に進み、デスクトップPCは6コア / 12スレッドが最低スペックとなりつつあります。
このモデルなら文書作成から簡単な画像編集なら難なくこなします。将来的にGPUボックスを使って拡張すれば、まさにデスクトップと同等の性能が手に入ります。
リビングPC用途
リビングでストリーミング動画を観たり、ブラウザーを使った検索やネットショッピングを楽しむぐらいであれば、上位モデルは必要ありません。最新モデルであれば、下位モデルのCPUに搭載されているグラフィックス機能(iGPU)も、4K@60Hzをサポートしています。
ただし、軽いゲームはしたいということであれば、第8世代NUCの方が良いかもしれません。
Intel NUC8i5BEH / BEK
Intel Coreプロセッサ搭載のスタンダードモデル。NUC8i5BEH / BEKに搭載されているCore i5-8259Uは、4コア/8スレッドのCPUで、快適なブラウジングやネットショッピング、動画閲覧を楽しむことができます。また、この性能があれば、ホームビデオなど簡単な動画編集まで可能です。
リビングPCとしては2コア / 4スレッドのCore i3-8109Uを搭載したNUC8i3BEH / BEKでも十分かもしれませんが、CPUのメニーコア化が進んでおり、今後アプリケーションのマルチコア対応も進む可能性があるため、今から買うなら4コア / 8スレッド以上のCPUを搭載したモデルの方が無難です。
NUC10i5FNH / FNK
ゲームをしないのであれば、最新モデルのNUC10i5FNH / FNKを選択するのもいいでしょう。
グラフィックス・ゲーム用途
NUCでグラフィックスやゲーム用途で使用するのであれば、4×4インチ・サイズのNUCではなく、高性能GPUを搭載したモデルを選びたいです。
NUC8i7HVK / HNK
4コア/8スレッドのCoreプロセッサに、内蔵GPU「AMD Radeon RX Vega M」をブチ込んだIntel Core i7-8809G / i7-8705Gを搭載したハイパフォーマンス・モデル。本体サイズが通常モデルの2倍あるためNUCらしさは少なく、髑髏のロゴもあるため、好みは分かれるモデルです。
ただ、その性能はNUCの枠を超えています。内蔵GPUのRadeon RX Vega M GH(8i7HVK)とGL(8i7HNK)は、同じAMD製Ryzen 5 3400Gの内蔵GPUであるVega 11よりも遥かに高性能で、外付けGPUのエントリーモデルNVIDIA GeForce GTX1050Tiを超え、GTX1650に迫ります。
Source: PASSMARK SOFTWARE
少し気になる点は、すでにモデル末期であり、次期モデルであるPhantom Canyonが見え隠れしていること。
Phantom Canyonは、NVIDIA GTX1660TiやRTX2070 Super Max-Qを搭載し、Hades Canyonよりも遥かに高性能になるみたいなので、待てる人は待った方が良いでしょう。
(参考)Next-gen Intel NUC 11 Extreme spotted using TigerKake-U & GTX1660Ti - Hardware Leaks
NUC9 Extreme "Ghost Canyon"
一体「NUC」とは何だったのか?と言いたくなるような5リットル・ケースのNUC。NUCとの共通点は、Skull Canyon、Hades Canyonに続いてケースに髑髏マークがプリントされているくらい。
高負荷時にアチアチになる第9世代Coreプロセッサを冷やすシロッコファンの吸気口が、グラフィックボードの裏面にピッタリくっ付いていて設計ミスじゃないの?と思わせる作りだったり、なかなか市場に流通しないうちに搭載CPUが型遅れになったりと、人におすすめできる代物にはなっていません。
NUCのケース容量は、0.5 / 0.7リットルで、Hades Canyonでも1.2リットル。5リットル・ケースのNUCを買うなら、7.2リットルのMini-ITXケース「Dan Cases A4-SFX」で組んだ方が満足度は確実に高いと思います。だがしかし…
「どうしてもNUC、どうしても髑髏」という人にはコレしかない逸品。
NUC10i7FNH / FNK+ GPUボックス
GPUボックスを使うなら、最初からMini-ITXで組めばイイじゃんという声もありますが、そこはロマン。
外付けGPUボックスと接続して、グラフィックスやゲームを楽しむのであれば、NUCで最も処理能力の高いCPU Core i7-10710U を搭載したNUC10i7FNH / FNKを組み合わせたいです。
総括 ー いま買うなら「NUC10i7FNH」一択
使用目的別におすすめ Intel NUC をまとめてみました。基本的に第8世代以降のモデルを購入しておけば、それほど後悔することはないと思います。
ただ正直なところ、Intel製CPUの製造プロセスに進展が見られず、第8世代以降性能が足踏みしている状態である今…
NUCを買うには時期が悪い。
購入を急がないのであれば、次期CPU「Tiger Lake-U」を搭載する第11世代NUC ” Panther Canyon / Phantom Canyon " の登場(2020年4Q頃)まで待った方が後悔は少ないでしょう。
でも、「いま買うなら、おすすめモデルはどれですか」と聞かれるなら、6コア / 12スレッドのパワフルなCPU性能を持つ「NUC10i7FNH / FNK」をおすすめします。
次期CPU「Tiger Lake-U」の初期サンプル品として4コア / 8スレッドのモノが出回っていることから、6コア / 12スレッドのCore i7-10710Uを搭載するNUC10i7FNHであれば、新モデル登場後も見劣りしないパフォーマンスを示してくれるはずです。