Intel NUCは、他のミニPCベアボーンと異なり、iGPU(integrated GPU=内蔵GPU)に通常のIntel Graphicsではなく、上位のIris ProやIris Plusを搭載しています。このため、軽量なゲームや簡単な画像編集など一般的な使用では特に支障ありませんが、VRなど最新3Dゲームや高度な画像編集を行おうとすると厳しい面があります。
Intel NUCでこうしたコンテンツを扱おうとする場合、eGPU(External GPU=外付けGPU)ボックスを導入してnVIDIA GeForceやRadeon RXなどのグラフィックボードを利用する方法があります。
eGPUボックスは、40Gbpsのデータ転送速度を持つ高速インターフェイス規格である「ThunderBolt3」を利用して、dGPU(discrete GPU=単体GPU)を持たないノートPCやミニPCに グラフィックボードを接続する周辺機器のことで、ThunderBolt3端子を搭載しているNUC6i7KYKや第7/第8世代Core i-Uシリーズを搭載するNUCであれば利用することができます。(※)
※eGPUボックスの機種によっては公式に対応していない場合もあります。
「eGPUボックスを接続するとコンパクトなNUCの魅力が半減する」「最初からmini-ITX規格のPCにグラフィックボードを搭載すればいいじゃないか」等のご指摘もあると思いますが、必要な時だけGPUを使えたり、複数のPCでグラフィックボードを共有化できるなどの利点もあります。
なによりガジェヲタ心をくすぐられるよね?
そんなワケでIntel NUCに接続するeGPUボックスを購入することにしました。
eGPUボックスの導入目的
まず、eGPUボックスを購入しようと思った経緯は、現在メインで使用しているNUC8i7HVKから5Kディスプレイに出力したいからです。
NUC8i7HVKでは1出力あたり4K@60Hzが限界となっているため、4Kディスプレイを2枚使用していたのですが、視点移動が大きくて作業効率があまりよくありません。そこで、5K/2K表示(5120×2160)するディスプレイ を導入するため、eGPUボックスを購入することにした次第です。
eGPUボックスの購入候補リスト
10数種類あるeGPUボックス製品のなかで、今回、購入候補に上がった製品は次の4種類です。
1 ASUS XG-Station PRO
最初に候補に上がったのは、ASUS製のXG-Station PROです。XG-Station PROはeGPUボックス製品の中では、他に比べてコンパクトな筐体であり、デザインもシンプルであるため、設置場所を選ばないところが長所です。
しかしながら、(1) 電源が内蔵されておらず、巨大なACアダプターが付属していること、(2) 電源容量が330Wであるため、ハイエンド・グラフィックカードに必要な電力(8pin×2の場合、PCIe=75W + 8pin=150W × 2 = 375W)の供給が厳しいことが短所といえます。ミドルクラス・グラフィックカードを利用するなら良い選択肢でしょう。
(スペック概要)
- 本体寸法:37.5 x 10.7 x20.5 cm
- 本体重量:2.95 kg
- 電源容量:330w
- 搭載eGPUサイズ:幅2.7slot、長さ31cm
- 対応OS:Windows10 / MacOS High Sierra 10.13.4 ※MacOSはRadeonのみ
2 Sonnet eGFX Breakaway Box
Appleの開発者用キット「External Graphics Development Kit」にも採用されたeGPUボックス製品です。電源容量が350W、550W、650Wのモデルが用意されているので、自分が使うグラフィックカードに合わせて選ぶことができます。
十分な電源容量のほか、長さ31.2cmまでのグラフィックボードを搭載できたり、85W(GPU-550W-TB3)までのノートPCを充電できるなど機能面で不足はありませんが、デザインが少々モッサリしている点が弱点でしょうか。
(スペック概要)
- 本体寸法:18.5 x 34.0 x 20.2 cm
- 本体重量:3.2 kg
- 電源容量:350w、550W、650W SFX
- 搭載eGPUサイズ:31.2cm x 16.0cm x 5.4cm
- 対応OS:Windows10 / MacOS High Sierra 10.13.4 ※MacOSはRadeonのみ
3 Mantiz Venus MZ-02
外観はシンプルなデザインのeGPUボックスですが、eGPUの他に87WまでのノートPCへの給電、USB3.0ハブ、Gigabit LAN、2.5inchストレージ用ポートといった多機能を備えています。電源も550WのSFX電源を搭載しており、ハイエンド・グラフィックカードの搭載も可能です(公式はVega64を推奨していません)。
目立った短所はありません。PowerColor製eGPU「PowerColor Gaminig Station」は、おそらくこのモデルと同等品です。
(スペック概要)
- 本体寸法:33.0 x 16.3 x21.5 cm
- 本体重量:3.6 kg
- 電源容量:550w
- 搭載eGPUサイズ:full length、 full height
- 対応OS:Windows10 / MacOS High Sierra 10.13.4 ※MacOSはRadeonのみ
4 Razer Core X
eGPU外付けボックスの分野を切り開いたRazerの廉価&最新モデルです。上位モデルの「Razer Core V2」がGigabit LANやUSBハブを備えているのに対して、このモデルはグラフィックボードを搭載する機能しか備えていません。
しかし、3スロット幅フルレングス、GPU最大電源サポート500Wなどあらゆるグラフィックカードを搭載できるという点では、このモデルの方が優れています。
(スペック概要)
- 本体寸法:37.4 x 14.72 x23.0 cm
- 本体重量:6.48 kg
- 電源容量:650w
- 搭載eGPUサイズ:33.0 x 16.0 x 6.0 cm
- 対応OS:Windows10 / MacOS High Sierra 10.13.4 ※MacOSはRadeonのみ
選択
最初は多機能でデザインもシンプル&クリーンなMantiz Venus MZ-02を購入するつもりでいました。合理的に製品選びをするとそうなるでしょう。
でも、僕は「Razer Core X」を選択しました。この手のガジェットは合理的な理由だけで選べるものではありません。
先駆者としてのRazerのカッコよさを超えるものはない!
製品が届いたらレビューする予定です!